倉庫生活 12th day

ここに住んでから問題となっている睡眠の浅さについて、部屋がずっと真っ暗なのが原因ではないかという仮説を立てた。つまり、朝になるにつれて白んでいく空が、ここにはないというわけだ。今朝は3度寝したのだが、1度起きたときに照明をつけてから寝ていれば、2度寝で済んだかもしれない。明日からは、一度半端な時間に起きた際に照明をつけてから2度寝しようと思う。

大学にビラ貼りに行った。前にも書いたが、僕は名大作曲同好会の会長で、そろそろ新しい会員が欲しいのである。今の時期、新入生たちは何とかして何者かになろうと必死である。様々なサークルが各々大手を振って新入生勧誘に躍起になっているが、我が会はそれほど大手を振って会員を募集していない。なぜなら、大手を振らないと入ってこないようなヤツは、どうせすぐ幽霊になるか、無責任なことをして叱られて幽霊になるか、その程度だと知っているからだ。本当に我が会のような場所を求めている稀有な人材は、必ず自分の手でここまで辿り着くと信じている。にもかかわらず、今のところ1人の新入生も連絡を寄越してくれない。ちょっと不安になってきた。

大学生は、何者かになろうと足掻く者たちの集合体である。往々にして彼らは群れ、奇行に走り、時には集団で奇行に走ったりもするが、それは群れれば他人が自分を規定してくれ、奇行に走れば奇行が自分を規定してくれるからである。しかし、そういった目論見は多くの場合失敗する。他人が規定してくれた自分は、あくまで自分ではなく他人だし、奇行によって規定された自分は、やはり結局自分とは乖離した別の存在だからである。喉から手が出るほど欲しかった”自分”像を何とか手に入れても、肝心の自分存在がその像から乖離していく。

奇行に走るならば、その奇行に見合うだけの内的精神性がなくてはならない。でなければ、ただの道化である。などと難しいことを考えてしまうのは、もしかしたら今朝kamijoくんが「全員くたばれ! 大学生」という漫画を読んでいるのを見たからかもしれない。

ところで、名古屋大学にはどういうわけか大量のローズマリーが生えている。これが垣根に美しく生え揃っていればいいのだが、むしろ雑草のように繁茂し絡み合っているので、僕らは遠慮なく千切ってきてその爽やかな香りを楽しむことができる。今日は2本千切ってきて、僕の狭い2畳間に生けてみた。これで部屋が爽やかな空気になればいいのだが。

生けられたローズマリー

なに、雑草を生ける花瓶などワンカップで充分である。

授業を受け、夕飯の支度をする。この前買ったひよこ豆でカレーを作ろうと思い、袋の裏に書いてあるレシピ通りに作ってみたが、明らかにカレーというより豆の炒め物みたいなものが出来上がったので、水を足してなんとかそれっぽく仕上げた。食ってみると、思ったよりおいしい。豆の旨味を侮っていた。

豆のカレー&目玉焼き

このカレーはハラールである。ハラールとは、イスラム教の厳格な戒律に則った清浄な食事、ということである。しかし、見ての通り僕は無神論者であるし、正直言ってそうした宗教的戒律には反感すら覚える。なぜ戒律の根拠を問い直そうとしないのか。宗教そのものは否定しないが、その教義の深奥にある最も抽象的な法則を解明しようとせず、ただ具体的な規則だけに着目し、不変の精神性を問おうとしないのが気に食わない。表層的で下らない議論からは、やれ味の素は豚の酵素を使っているから不浄だの、非常時の食事は豚肉でもハラールだのといったバカバカしい結論しか出てこない。そういうわけで、我こそはハラール・キッチンドランカーである。ガハハハ。ハラールをぶち壊しながら飲む酒は最高だわい。

とはいえ、イスラム文化圏でこうした豆料理が発展したのは、ハラールな蛋白源を追い求めた結果という事情が大きい。結果的に、ありとあらゆる豆の調理法が生み出され、他に類を見ない食文化が生まれていったのである。創意は任意の制限の中から生まれる。面白い文化の特性である。

夜、そでくんと江坂さんと名大の古代アリーナで話した。古代アリーナは、2024年の名大改装に伴って取り壊され、本当に古代の存在になってしまう。

深夜の大学は、寒いが居心地が良い。人がおらず、暗躍している気分になるからだろうか。大きな木の下で話していたら、急に江坂さんが叫び声をあげながら服を脱ぎ始めた。どうやら、服の首元にムカデが落ちてきたらしい。名大には虫が多い。新入生諸君も注意せよ。

怖くて服を着られない江坂

その後、北部に場所を移して話した。新しくできた建物の屋根に、ちょうどいいベンチと机があるのだ。ワインを飲み、3人で寒さに震えつつ過ごした。そんな中、江坂さんがおもむろにスピーカーとマイクを取り出したと思ったら、いきなりカラオケをし始めた。最高である。

ライブ状態の江坂

今日はよく眠れるだろうか。この2畳の倉庫は、万人に勧められはしないが僕にとっては非常に居心地が良い。課題は安眠だけである。今日こそは、深い眠りに落ちたいものである。

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