倉庫生活 27th day

起きると真昼間であり、あと30分で対面授業が始まるところだったので、急いで大学に向かった。向かう途中、この前受けた実験バイトの謝礼を受け取ってきた。今、僕の所持金は3千円に満たない。もちろん預金も含めての全所持金である。金券とか電子マネーとかを含めればもう少しあるが、ここまで差し迫った経済的危機を感じたのは初めてで、僕はもう生まれたてのバンビのように震えながら生きている。一か月くらいは持つと思ったのに……。

真面目な話、ここに移り住んでからお金はセーブしないで使うことにしてきた。というのも、一人暮らしのシミュレーションをしてみたかったからである。結果、恐らく1か月で3~4万+家賃くらいのお金を使ったと思う。それに対し収入は、馬車馬のごとく働いた日雇いの7千円と実験参加バイトの6千円、親にもらった1万円。まあ正直僕がもっと働けばいいのだが、前にやっていた家庭教師は時給1750円でそれなりにやりがいのある仕事だったので、日雇いバイトなど安いし辛いしつまらないし、僕がやる意味ないし安いし時間の無駄だと思ってしまう。それなら作曲とか音楽活動に時間を使いたいというのが人情だ。

それはそうと、夕方に江坂さんとキンブルに行った。キンブルとは、愛知県に4店舗ある大きなリサイクルショップであり、時空と倫理感の歪んだ分かりやすい異世界である。人智を超えた低価格、極めてランダムな陳列、日本離れした客層、不条理かつ理解不能な品揃え。そのどれを取っても完全に資本主義経済のバグであり、一切の理性が介入できない現代の桃源郷である。ネット上では、キンブルの上に毎夜UFOが飛来して商品を仕入れているとか、4つのキンブルを地図上で結んだ交点には失われた地下遺跡があるとか、愛知県知事は実はキンブル上空に現れた時空の裂け目から誕生したとか、超常的なうわさ話に事欠かない。などと適当なことをどんなに熱弁しても、あの場所の異常さが伝わるかどうかは怪しいのだ。

今日は中古のフードプロセッサーを探しに行ったのだが、そんなありきたりなものは置いておらず、代わりに2kgのかぼちゃペーストや酸素カプセル、食品を計量して密封する機械、酒、冷凍わさびなどが常軌を逸した値段で売られていた。江坂さんがかぼちゃペーストを購入したが、この2kg50円の物体をどうやって消費するか、当分悩むことになりそうだ。

夜、冷蔵庫にライム・パクチー・生姜・民青にもらったそばが余っているのを見て、タイ風スパイスつけそばという料理を俄かに思いついた。ネットで調べても先駆者はおらず、僕が適当に考えてスパイスめんつゆを作った。

スパイスめんつゆ

めんつゆに砂糖、ナンプラーを入れ、ライムを絞って丸ごと落とす。酢で酸味を調えつつ、刻みパクチーを加えて冷蔵庫で冷やす。その間、クミンとコリアンダーシード、フェンネルシード、赤唐辛子をテンパリングした香味油を用意し、粗熱を取ってからめんつゆに入れ、混ぜて冷やす。完全に思いつきで作ったのだが、意外と美味しい仕上がりになった。

非タイ風スパイスつけそば

醤油とスパイスの相性はかなりいい。パクチーの爽やかさとスパイスの刺激もあり、暑い夏にぴったりだろう。ただ、明らかにタイ風ではないので名前は変えたほうがいいかもしれない。

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