倉庫生活 22th day

毎日このブログのタイトルに「倉庫生活」という文字を打ち込んでいるわけだが、何故かしばしば「倉庫」が「操觚」と誤変換される。全く見たことのない単語だったので、意味を調べてみたところ、

”詩や文章を作ること。文筆に従事すること。”

とのことである。なんとまあ。いっそこのブログのタイトルを「操觚生活」に変えてしまったら、ずいぶんとカッコよく教養的なのではないだろうか。偶然にもまた一つ賢くなった。

さて、今日は同居人のそで君がお笑いライブをやるというので、見に行った。彼は、ケイ君という可愛らしいご友人とコンビを組んで「未開拓ボウズ」としてお笑い活動をしており、その仲睦まじげなお笑いはある種夫婦漫才的な微笑ましさを醸しつつも、2人は別段付き合っているわけでもなく、良き友人同士であるというので、僕はたびたびそんな不条理があるか!?と虚空に向かって取り乱している。オタクに女友達という概念を理解するのは難しいのだ。

などとバカなことを考えている内に、会場に着いた。名古屋らしい、小汚い小さなライブスペースである。素人のお笑いというものを見たのは高校の文化祭が最後であり、そのときは死ね以外の感情を思い浮かべるのが難しかったが、今回は存外に楽しめた。未開拓ボウズもバッチリ面白く、クオリティの高い漫才で会場を沸かせていた。

お笑いは、少し前から多少興味を持って見るようになった。なぜならお笑いは、常に常識や良識、社会的多数派との戦いを余儀なくされる、クリエイティヴな試みだと思うようになったからである。無論、素人のお笑いだからそこそこの完成度のものも多かったが、面白いと感じたネタもいくつかあった。ただ、それとは別に、やはりプロの売れているお笑い芸人は段違いにすごいのだなとも思った。

ところで、今日舞台に立っていた人々はいずれも素人だったはずなので、普段は社会人として働いたり大学生をやったりしているわけである。そうすると、今舞台の上でパッパラパーをやっているこの道化師が、職場では真顔で一人メシを食っているのだろうか、などと仕方のないことを考えてしまう。あるいは、意外と職場でも相変わらずパッパラパーなのかもしれない。個人的には、後者であってほしいと思う。僕の考えでは、舞台の上というのは例外的で無礼講な夢の国ではないからである。現実と地続きの創作を僕は見たい。

難しいことを打ち込むと指が疲れる。お笑いの帰り、自転車を走らせていると、以前恋人と歩いた通りに出くわした。その通りは面白かったので、記憶に残っていたのだ。この通りには古風な店が建ち並んでいるのだが、どういうわけか造りが長屋建築なのである。

長屋建築とは、家の側面の壁を隣家と共有した建築のことであり、日本では江戸時代ごろに流行った。そんな伝統的な建築が普通の商店街にあるので、驚いたのである。長屋の一角をなす紅茶屋で聞いてみたところ、昔この長屋は近くの寺の敷地だったらしい。思わぬところに文化は潜んでいるものだ。

今日の夕飯は僕が作ったケララチキンカレー。南インドはケララ州の雰囲気をまとった爽やかなカレーだ。ちなみにチキンは2,3日前に消費期限が切れている。知ったことか。僕はどうせ遅刻常習犯である。今更誰が気にしよう。

ケララチキンカレー

そしてもう一品は、昨日仕込んだスパイスたまごである。どんな味だか想像がつかないが、見た目はかなりカッコいい。

スパイスたまご

食べてみると、なるほど確かに美味い。とても上品なカレー味の味玉と言ったところか。しかしカレーとも少し違うので、やはりスパイスたまごと呼ぶほかない。クミンの香りをベースにしつつ、コリアンダーシードを囓った際の爽やかな香りがたまごに良く合う。唐辛子のぴりっとした辛みがスパイシー感を増しており、これは普通の味玉とは別枠でまた作りたい味である。

ところで、先刻近所の「シルクロード」という食品店にココナッツミルクを買いに行ったところ、店員に「カレーを作るんですか?」と図星を突かれた。僕が毎日のようにスパイスを買い行っているので、顔を覚えられたらしい。嬉しい驚きだ。

夜、友人と電話をした。難しく不毛な話を長々としてしまった。今日も早く寝るのは無理そうである。

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