倉庫生活 15th day

ここでの生活も既に半月過ぎたらしい。暮らしに違和感がなさ過ぎて、妙な感覚である。もしかして、何か大事なことを忘れていやしないだろうか? 毎朝起き忘れているとか、この2週間水を飲み忘れているとか、それでいてそれに気づいていないような、妙な感覚である。

今朝、人の動く音で目が覚めたと思ったら、そういえば今日は毎月1回の掃除の日だった。みんな僕より先に起きて掃除をしていたので、僕も加わった。江坂さんが少しだけ机といすのレイアウトを変えた。ここで暮らす僕を観察するため、ここ数日八雲人間舎によく江坂さんが来ている。

掃除が終わり、昼ご飯に天津飯を作った。醤油は入れず、鶏ガラと塩で仕上げ、ナスとわさび菜を入れた。卵を炒めるときには、先日鳥皮焼きを作った際の副産物である鶏油(チーユ)を使った。これがかなりいい香りだった。天津飯は僕の得意料理である(というか作るのが簡単だ)。今回もなかなか美味しく仕上がった。天津飯は、実は醬油味よりも鶏塩味の方が美味いと思う。

鶏塩天津飯

今日は、その後昼寝をしてしまった。春眠暁を覚えずとか言うけれども、確かに春の眠りは粘度が高い。2時間以上寝てしまった。反省として、起きてからは溜まっていた小さな仕事を片付けた。今日はとんでもなく風が強い。空は雲一つなく、都会の癖に空気が澄んでいた。

夕景

江坂さんが八雲人間舎に置いて行った「きっと誰も好きじゃない」という本を読んだ。高木美佑という人の本で、出会い系アプリを使って会った男性一人一人とのエピソードをまとめた短文集だ。著者のナイーブな感性が伝わってきて、全く共感はできないし好きでもないが、面白い。いかにも現代的な感性だと思う。

夕飯は、桜井君がかなり美味い筑前煮を作ってくれた。僕も、江坂さんが先日置いて行った鱧のガラから出汁を取り、鱧出汁のかき玉汁を作った。鱧の出汁はとても良い香りがし、濃厚だった。

夕飯

夕飯の後、江坂さんがやってきてヨクトグラミングの発表をした。22時を過ぎてから、江坂さんの提案でスーパー銭湯へ行くことになった。

家に帰ると、もう3時近かった。江坂さんが買ってきたニッカのアップルワインをみんなで飲んだが、非常に美味かった。濃厚で甘く、ワインとは完全に別の飲み物である。22度の度数を感じさせない。そうこうしているうちに4時を過ぎ、今日も寝る時間はだいぶ遅くなってしまった。

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