昨日の夜、寝る前に江坂さんが鶏めしを持ってやってきた。それはとても美味かったのだが、そこで僕も冷蔵庫に煮凝りを仕込んでいたのを思い出した。数日前に捌いたまぐろの皮の煮凝りである。
まぐろの皮は、日数が立っていたのでかなり生臭く、煮凝りにはしてみたものの正直美味しいかどうか自信がなかった。味付けは生姜とニンニクと味噌と醤油と酒、全て臭み消しである。食べてみると、思ったよりイケる。佳品とはいかないが、普通に食える仕上がりになっていた。
寝付いたのは0時ごろ、普段より早い時刻だ。翌日がデートだったので、寝坊するわけにいかなかったのである。結果、今までで最も良い寝覚めであった。自慢だが、僕は普段よく寝坊する癖に、デートの日に寝坊したことは一度もないのである。ちなみに、起き抜けに枕元の電気を消そうとしたら、電球から照射された熱でスイッチが信じられない熱さになっていて火傷した。意味が分からない。早急にLED電球に替えるべきだ。
恋人と合流し、昼ご飯を食べてからネットカフェに行った。そう、知る人ぞ知るネカフェデートである。デートスポットと聞いてナイトプールやスポッチャ、遊園地などを思い浮かべるような陽の者共には意外かもしれないが、ネットカフェは実にデート向きの場所だ。何しろ、映画は見られるし漫画は読める、ゲームもできる、だらだらと昼寝もできるしドリンクバーもあり、何よりソフトクリームが食べ放題なのである。「そんなの恋人とやることじゃない」と思う輩は、大人しくナイトプールにでも浸かっていればよろしい。
ちなみに、今回借りた部屋は2人用の部屋だったのだが、僕の部屋のぴったり2倍の広さであった。複雑な気分である。
帰宅すると、江坂さんが買って置いていってくれた食材がたくさんあった。どれも見たことのないような変わった食材ばかりだ。江坂さん曰く、その食材を勝手に使っていいので、作ったものを少し食わせてほしいとのことだった。なかなか面白いやり方である。そこで、僕はチャナコタルカリというひよこ豆の炒め物を、他の住人が豚ももの叉焼、ペコロスのコンソメ、わらびのお浸しを作り、みんなで食べた。江坂さんの買ってきてくれたワインも楽しんだ。
酒を飲みつつアートや恋愛について話し、大いに盛り上がった。そうこうしているうちに、夜の1時半になった。今日、僕はCBCテレビの音楽番組に出演することになっている。それが1時半から放送なのである。先日、その番組のADの人からいきなり連絡がきたと思ったら、翌日には実家でVTRを収録することになり、たっぷり1時間ほども取材をしてもらった。僕のような作曲家のタマゴにはありがたいことだ。とはいえ、本当に出演するのだろうか。するとして、ほんの30秒ほどでカットされないだろうか。
などと思っていたら、普通に5分くらい僕のVTRが放送された。僕の魂であるロクリア旋法について語った部分も、カットされずちゃんと使われていた。とても満足である。
かくして、今の時刻は3時半である。こんな時間になってしまっては、今晩も悪夢を見るのは避けられまい。とはいえ、今晩は楽しかったのでまあ良しとしたい。